エコリカ創業者の生地・郡上八幡には古来より、湧水を再利用する「水舟」というシステムがあります。幼少期から育まれた、限りある資源を大切に使う“もったいない”の精神。この“もったいない”を「インクカートリッジのリユース」という形で事業化したのがエコリカの始まりです。
「エコロジー&リサイクル」をコンセプトに、大規模なインクジェットプリンター用使用済みインクカートリッジの回収・製品化を行う循環型のビジネスモデルを日本で初めて構築しました。また、省エネ・長寿命のLED・OLEDには、LED照明の黎明期からその普及に取り組み続けています。
エコリカは環境負荷の少ないビジネスモデルを通して、環境価値、経済価値、社会価値を創出し、ステークホルダーのみなさまと共に持続可能な社会づくりに貢献しています。
持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。 17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。
エコリカの創業当時、インクジェットプリンターの使用済みインクカートリッジといえば、廃棄するのが当たり前でした。使い切ったカートリッジを再利用する方法がなかったため、毎年約2億個もの使用済みカートリッジがゴミとして捨てられていたのです。この廃棄される膨大なカートリッジに資源としての可能性を見い出し、エコリカは2003年、日本初の「使用済みカートリッジを回収し再利用する」仕組みを確立しました。現在に至るまで回収量、リユース販売量共に国内最大規模を誇ります。
家電量販店、ホームセンター、GMSなど全国1万カ所以上に専用の回収ボックスを設置し、毎年、全国のインクカートリッジの年間流通量の約14%前後(2019年度は約13%・約2,620万個)を回収しています。これは、現在純正品メーカー等が行っている回収プロジェクトにおける回収量の7倍以上。エコリカの創業以来の累計回収数量は、約4億個にもなります。
回収されたカートリッジのうち、再利用可能な約50%をリユースし、エコリカの製品として販売しています。これまでにリユースされたカートリッジの数は約2億個。カートリッジ1個に使用されるプラスチック量を平均20gとすれば、これまでに約4,000tもの石油系資源を節約したことになります。破損などで使われなかった約50%のカートリッジも、マテリアル&サーマルリサイクルで有効活用しています。また、使用後のカートリッジ回収袋として利用できるジッパー付き製品パッケージは、製造と販売だけでなく、使用後の回収に至るまで、エコリカが責任を持って関わることを示しています。
販売数においても創業以来純正品以外で市場シェアNo.1(※2)の実績を続けており、環境貢献と持続可能な経済活動を両立する循環型経済を実践しています。エコリカの取り組みは、消費者がカートリッジの回収に参加し、製品購入までの循環サイクルに接することで、資源、環境の問題をより身近な課題として感じていただける機会にもなっています。
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「生産」から「廃棄」にわたるライフサイクル全体を通して環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられる環境ラベル「エコマーク」。エコリカは、環境省の外郭団体であるエコマーク事務局と共同で、エコリカが創出した新しい商品カテゴリー「再生インクカートリッジ」の策定作業にも深く関わり、同カテゴリーで認証第1号をいただいています。また、「LED電球」においても認証第1号をいただきました。
エコマークの環境評価項目にもある有害物質の制限とコントロールにおいて、お客さまの安心・安全のため、エコリカで使用しているインクには、重金属や発がん性物質などが含まれていないかを厳しく検査するAmes試験を実施しています。また、化学物質の成分や取扱い情報を記載したSDS(化学物質等安全データシート)も公開。有害物質、環境汚染物質等の発生を抑制するための厳重な調査を行っています。製品製造における土壌・水質汚染に対しても、さまざまな対策を行っております。特に、インクカートリッジの洗浄工程で生じる廃棄インクは、不純物質が工場の外へ排水されないように、自社構築の浄水システムで無公害の水に濾過したうえで排水施設に流しています。
社会の省電力化を目指し、2009年よりLED照明の製造・販売も開始。もちろん、エコリカのオフィス照明もすべてLED。2017年からは、UVやブルーライトをほとんど含まない、目にやさしいOLED(有機EL)製品も販売し、さらなる省エネ製品の普及を目指しています。また、自社の事業ではカバーできない自然環境や生態系を守るための活動として、製品販売1個に付き1円をWWF(環境保全団体)に寄付する売上連動型寄付活動も継続的に行っており、累計寄付額は9千万円以上になります。
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回収された使用済みインクカートリッジの分別拠点として、創業者の故郷でもある岐阜県郡上市八幡市に回収センターを設置。同地における雇用創出に貢献しています。また、インクカートリッジの製造拠点としてフィリピンに設置した大型工場では、年間400人以上の現地雇用を実施し、福利厚生はもちろん、資格取得のための支援なども行っております。さらに、大阪府工賃向上計画支援業の一つとして、「一般社団法人エル・チャレンジ福祉事業振興機構」を通じ、大阪府内38か所の障がい者就労施設に使用済みインクカートリッジの回収・仕分け業務を委託しています。いずれも、人や国、性別を問わず、就労・キャリアアップの機会を創出するための取り組みです。
また、エコリカの回収事業を通じて、地域社会と密接につながり、リユース・リサイクル活動にご参加いただく機会を積極的に設けております。例えば、幼稚園に回収ボックスを設置し、園児やそのご家族、先生方に回収にご協力いただくことを通して、エコリカの活動の周知と環境保護の啓蒙を行っています。他にも様々なイベントに参加し、みなさまに環境問題について考えていただける機会を設けております。これからも、みなさまが持続可能な社会への関心を高め、具体的に参加いただけるような仕組みづくりに積極的に取り組んでまいります。
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